note 第12回 インボイス制度 2割特例~小規模事業者に対する負担軽減措置~
九州福岡の税理士法人サムライズです。
今回はインボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者(課税事業者)になった場合の負担軽減措置についてご紹介いたします。インボイス登録について、検討されている方にもご参考になれば幸いです。
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(1) 2割特例(負担軽減措置)の内容について
①軽減措置の内容:業種に関わらず「売上税額の2割」を納税額とする事ができる
②対象となる方 :免税事業者からインボイス発行事業者となった方
(2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下等の要件を満たす方)
③対象となる期間:令和5年10月1日から令和8年9月30日を含む課税期間(インボイス制度実施後から3年間)
④計算イメージ
【新しい計算方法】
〈2割特例〉
売上に係る消費税額から売上税額の8割を差し引いて納付税額を計算
・仕入税額の実額計算不要
・業種に関わらず売上税額の一律2割を納付
・事前の届出が不要
【通常の計算方法】
〈一般課税〉
売上に係る消費税額から仕入れに係る消費税額を差し引いて納付税額を計算
・仕入れや経費の額について、実額で計算が必要
〈簡易課税〉
売上に係る消費税額から売上税額にみなし仕入率を掛けた金額を差し引いて納付税額を計算
・仕入税額の実額計算不要
・業種に応じたみなし仕入率を使用
・事前の届出が必要
⑤計算例
例)業種:サービス業 売上:700万円(税額70万円) 経費:150万円(税額15万円)
特例の場合 :70万円×2割=14万円
一般課税の場合:70万円-15万円=55万円
簡易課税の場合:70万円-35万円(70万円×50%(サービス業のみなし仕入率))=35万円
(2) 2割特例を適用できる期間
前述したように、2割特例を適用できる期間は「令和5年10月1日から令和8年9月30日を含む課税期間」となります。
また、上記の期間内でも2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超える場合など、インボイス制度に関わらず課税事業者に該当する場合には、2割特例の適用を受けることができなくなってしまいます。
<ケース1:個人事業主 課税売上高の課税売上高が1,000万円以下の場合>
令和5年10月1日~令和8年12月まで(全期間):2割特例適用可能
<ケース2:個人事業主 令和6年度の課税売上高が1,000万円超の場合>
令和5年10月1日~令和7年12月まで(全期間):2割特例適用可能
令和8年 1月1日~令和8年12月まで(全期間):2割特例適用不可(基準期間である令和6年度(2年前)の課税売上高が1,000万円超であるため)
(3) 2割特例を受けるために手続きは必要?
2割特例の適用にあたっては、届出書の提出などの事前の手続きは不要です。消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することで適用を受ける事ができます。
また、2割特例を適用して申告した翌課税期間において継続して2割特例を適用しなければならないといった制限はなく、課税期間ごとに2割特例を適用して申告するか否かについて判断することができます。
(4)まとめ
今回はインボイス制度の2割特例についてご紹介いたしました。
2割特例は、今まで免税事業者でインボイス制度を機に課税事業者となる小規模事業者にとっては、通常の計算方法と比べて、事務負担や税負担の面で有利な制度になっております。
ただし、2年目の課税期間の課税売上高が1,000万円超となった場合などは2割特例が適用できなくなり、思わぬ税負担増といった事になりかねませんのでご注意ください。
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