note 第14回~インボイス制度 免税事業者が登録事業者になった際の対応~
九州福岡の税理士法人サムライズです。
インボイス制度施行まで、1月を切りました!
消費税の税率や税額を請求書に記載するインボイス制度が1日から始まりました。
初日はタクシーやコインパーキングなど生活に身近なところでインボイスに対応する動きがみられましたが、日曜日だったこともあり、静かな滑り出しとなったかと思います。
今回はインボイス制度開始を機に課税事業者となった場合の対応についてをご紹介いたします。
※この記事は税理士サムライズnoteにも掲載しております。
noteには、知っているとちょっと得する税やお金のお話を掲載しております。
下記のURLからnoteにアクセスできますので、お気軽に足をお運びください。
税理士法人サムライズnote:九州福岡の税理士法人サムライズ|note
(1) インボイス制度開始にあたっての免税事業者の対応
免税事業者はインボイス制度開始にあたって、適格請求書発行事業者として課税事業者になるか、免税事業者のままでいるかの2つの選択肢があります。
インボイス制度に登録した場合には、今までより消費税の納税負担やインボイス発行・申告業務の事務負担が増加します。
例えば美容院では、取引先が事業を行っていない一般の消費者であることが多く、その消費者に対してインボイス制度の影響はないため、免税事業者のままでも問題がないといえます。対して、飲食店のように取引先に事業者と事業者でない一般の消費者が混在するような場合では、お金を支払う事業者からインボイスの交付を求められることも考えられるため、課税事業者になるかについては要検討となるかと思います。
(2) 適格請求書発行事業者の義務
適格請求書発行事業者には、以下の義務が課されることになります。
〇適格請求書の交付
〇適格返還請求書の交付
→返品や値引きなどの「売上に係る対価の返還等」を行う場合。
〇修正した適格請求書の交付
→交付した適格請求書に誤りがあった場合には、修正した適格請求書を交付すること。
〇写しの保存
→交付した適格請求書の写しを保存すること。
(3) 交付(受領)する請求書等の様式について
下記表上の区分請求書が令和5年9月30日以前の記載事項、右記の適格請求書が令和5年10月1日以後の記載事項となります。表上の赤の下線が引かれている箇所が追加して記載が必要な箇所となっております。
【区分記載請求書(インボイス開始前)】 【適格請求書(インボイス開始後)】
①請求書発行者の氏名又は名称 ①格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日 ②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨) ③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した税込対価の額 ④税率ごとに区分して合計した対価の額
(税抜き又は税込み)及び適用税率
⑤請求書受領者の氏名又は名称 ⑤税率ごとに区分した消費税額等
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
(4) 消費税の負担はいつから発生するのか
〇免税事業者が令和5年10月1日から適格請求書発行事業者となった場合
計算期間中に預かった消費税額から支払った消費税額を差し引いた消費税額が納税額となります。
例)個人事業主の場合
第1期
計算期間:令和5年10月 1 日~令和5年12月31日(3ヶ月分について消費税の申告が必要)
申告期限:令和6年 3 月31日
第2期以後
計算期間:令和6年 1 月 1 日~令和6年12月31日
申告期限:令和7年 3 月31日
(5) 消費税の計算方法について
消費税の課税方法には原則課税と簡易課税がありますが、どちらを選択するかによって税額が変わります。有利な税額になる方を自身で選択することができますが、どちらが有利かは実際に計算して判定する必要があり、課税方法の選択の際には事前に届出書を提出することが必要となります。
また、免税事業者がインボイス制度を機に課税事業者となった場合には、消費税の納税額を売上税額の2割に軽減する負担軽減措置が施行されています。こちらは令和8年9月30日まで(3年間)の経過措置となっております。
〇計算方式ごとの比較
例1)10%課税売上 5,500,000円(税込) 10%課税仕入 2,200,000円(税込)飲食業(みなし仕入れ率:60%)
①原則課税
計算式:売上税額500,000円 ― 仕入税額200,000円
納税額:300,000円
②簡易課税
計算式:売上税額500,000円 ― (売上税額500,000円 × みなし仕入れ率60%)
納税額:200,000円
③2割特例
計算式:売上税額500,000円 × 20%
納税額:100,000円
例1)10%課税売上 5,500,000円(税込) 10%課税仕入 3,850,000円(税込)飲食業(みなし仕入れ率:60%)
①原則課税
計算式:売上税額500,000円 ― 仕入税額350,000円
納税額:150,000円
②簡易課税
計算式:売上税額500,000円 ― (売上税額500,000円 × みなし仕入れ率60%)
納税額:200,000円
③2割特例
計算式:売上税額500,000円 × 20%
納税額:100,000円
(6) まとめ
10月1日よりインボイス制度が開始されました。インボイス制度によって課税事業者となった場合には、消費税の納税額の負担の他にもインボイス発行の事務負担も増加することとなります。また、新たに消費税の納税資金の準備が必要となるため、納税資金用の口座を作り預けるなどの方法で、消費税の納税に備える必要もあるかと思います。
インボイス制度については、ご自身の業種や取引の状況などから個別の判断が必要になります。ご不明な点等がございましたらお気軽にお問い合わせください。
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